せめてバックには真っ赤な薔薇の花を
1か月以上書いてなかった。
そんなのっちさんでも健康のため年1で人間ドックに入る。
血液検査とか、肺活量検査とか、あらどっかで受けたなと思いながらもまた受けてきた。
人間ドックを受け終わり、意気揚々と移動した。順調だ。
と思った翌朝、異変が起きた。
トイレでいきんだ後、紙に赤いのがついている。血。
確かに固かったから・・・と思ったが、血が出てる部分を拭き取った。
いぼだ。いつも月一で確認できるいぼよりデカい。
休み時間、「(のっちさんの居住地) 痔」で検索かけているのっちさんがいた。
検索の結果、のっちさんの居住地には肛門科専門病院があった。
電話した。「予約はいりませんので身一つで来て下さい」
すぐさまその病院に駆け込んだ。
初診であることを告げたら問診票を書かされ、男だけ数人の待合室で待つこと10分。
呼ばれた先では若い女性が待っていた。
彼女の隣にはベット。頭側には枕、足側にはこまごました器具。その上にモニター。
頭側の壁に絵があった。
背を向けて横になった人間の絵。両足を曲げた下半身はズボンを下ろして丸出しになっている。
ああ、そういう姿で受けるんだなあと思った時、彼女はタオルを持っていた。
その絵よろしくズボン降ろして横になれってことだな。
のっちさんはズボンを下ろし横になった。タオルが腰から下を覆うように置かれた。
彼女と歓談しながらこのまま待っていろってことだな。
と思いきや、「まず写真撮りますよ-」
彼女はタオルの下からのっちさんの患部を消毒し、
性器部分に紙か脱脂綿を覆ってから彼女は写真を撮った。
医者がとなりの診察室で低く高らかに歓談してる声を聞きつつ、
のっちさんは待っていた。
そしてしばらくしてから医者がやってきた。
医者だ。50はとうに過ぎた白髪の親父だ。
医者は問診票を見た。
「人間ドックを受けた後に痔が悪化したんだねえ。ああバリウムねえ。」
ふと数日前の自分を思い出す。
胃腸を見るバリウム検査は1年ぶり。絶食、口当たりの悪いバリウム、そして数分間の回転。げっぷも出さず受けきった自分に尊敬する。
その数日後に肛門科に駆け込んだ自分との落差。
「バリウムって胃の運動ぐらいしか見られないんだよねえ。排便も固くなるし。それよりなら食道から十二指腸まで見られる胃カメラの方をお勧めするんだけどねえ」
と医師はのっちさんの肛門の写真を撮りながら話していた。
写真を撮った後、のっちさんの肛門に何か冷たいものを突っ込んだ。
肛門を温めるために5分間耐えた。
診断 「嵌頓痔核」 痔核(いぼ)内に血液の固まりが多数でき、浮腫も重なり肛門から飛び出しているため腫れと痛みが強い。
医師から貰った「嵌頓痔核」4連写の画像には確かに小豆状の血豆がある。
そして今後の治療予定。
・毎日入浴するように
・処方された飲み薬、差し薬(軟膏)、付け薬を定期的に付けるように
・肛門冷却(ポスクール)療法*1
・排便は3~5分で済ます。
わかった、とのっちさんは診察を終えた。*2
で、ここ最近ののっちさん。
血豆が破けたせいか、お風呂に入る気力もなくなった。
そのかわり尾てい骨の上にカイロを貼ってなんとか血行をよくしている。
湖を見失った白鳥は
2週間前、のっちさんは異様に高揚していた。
骨髄移植、初めての入院。誰でも体験できないようなことに心躍らせていた。
その時の血液検査で血中のヘモグロビンが低いと言われても
まだ未知の体験への希望はつないでいた。
そして、その1週間後、血液再検査をした後に医師からこう言われた。
「大変申し訳ありません。ヘモグロビンが前回より低くなってます。この血液状態だと骨髄移植はドナーの健康状態から見て危険です。一年間ドナーコーディネートは保留という形を取らせていただきます」
直後、のっちさんは目の前が真っ暗になった。
つまり骨髄移植終了。
空から真っ逆さまに突き落とされた感じだった。
病院から出て、会社にも報告。それから改めて休暇を取った。
それからデパートで彷徨った。
デパートの商品群が自分に買って買ってと微笑んでいるように見えた。
本当なら、この中の一つ、骨髄移植ガンバレわたし、で買ってたのになあ。
泣きたかった。
いつもはヘモグロビンは平常なのに、なんでここぞとばかりに平常以下の数値が出るの?だれのせいでもないけど、悔しかった。
ふらふらと彷徨った先に「傾聴ボランティア」なる小部屋をみつけた。
思わず入ってしまった。
そこには2人のおばちゃんが話を聞きたそうに机で待っていた。
そしてのっちさんは話した。会社のでのダメっぷり。わたしなんか居ない方がいい、仕事がもっとできるようになりたい、と恨みたっぷりに話していた。そこから、おばちゃんたちが言った。
「大変ねえ、あなた、休みにやるような趣味があるの?」
趣味。ありますあります。マニアックですけどねー。
と勢いよく喋り続けたら、2人のおばちゃんは私の顔を見て
「あなた、さっきの会社の話と打って変わってめがすっごく輝いてるわね」
と。
え?え?
結局おばちゃんたちに励まされて1時間ぐらい話していた。
少しは気分よくなったようだ。
と言うわけで、貧血症状発覚なのでドナーは1年間お預けです。
でも、ドナーコーディネート再開までにヘモグロビン値を女性の正常範囲まであげておく
という目標もできた。
次の日、ずっと行きたかった職場近くの飲み屋に行った。
たらふく食べてガンバレ私と心の中で言い続けた。今度はドナーになれるといいね。
モンチとあんなのエリザベート
先日、東京で宝塚の『エリザベート』を見に行った。
自分は毎月の宝塚雑誌の愛読者なので
『だいたいエリザベートはこんなもんだ』
という学習はしている。
ああ、女子プロレスラー朝夏『トート』まなとが活躍するんだな*1。程度。
まあ、女子プロレスラー、違う宙組トップスター朝夏まなとを見るのはもちろんだが、のっちさんが見たかったのは彼女だけでない。
全員見たいのはやまやまだが、宙組と言えば特にこの二人が見たかった。
星吹彩翔、93期男役。ニックネーム、モンチ。
風馬翔、94期男役。ニックネーム、あんな、かける。
数年前49歳友人は宝塚おとめを見て、彼女らの顔を見て吹いた。風馬翔はそのまま。星吹彩翔はニックネーム*2も見て。
『俺、星吹彩翔と風馬翔を舞台で見たら吹く自信あるぜ』
と49歳は断言してしまった。
まあ、星吹彩翔はともかく、風馬翔はダンスの人だから!顔はそうかもしれないけど彼女のダンスも見てくださいよ!
とのっちさんは思った。
宝塚雑誌での茶目っ気ある風馬翔のイラストを見ながら余計吹きそうになるのを抑えながら。
で、『エリザベート』配役。
星吹彩翔 ヴィンディッシュ嬢
風馬翔 黒天使
え?男役の星吹彩翔がヴィンディッシュ嬢だと?これは吹くどころか疑問符が踊った。49歳はこれを聞いた時吹いた。
『あの星吹彩翔がヴィンディッシュ嬢?伶美うらら*3がマダム・ヴォルフ?劇団、いくら、小池が激務だから*4、といって小柳*5に任せて大丈夫かよ?』
うん、あの小柳奈穂子だし、役もあれだしこれだしな、見ないつもりできたが、なぜかチケットが手に入ったためになぜか東京宝塚劇場にいた。
かけるは黒天使だからほぼ別役はないとしても、モンチ、ヴィンディッシュ嬢じゃないときも女役なんだろうか、さっき急いで買ったパンフレットを見た。エリザベートの大叔父さん、カフェの男、貴族男…。なんだ男役もやるんじゃん、しかも、貴族の時は男役として歌ってるし。
オペラをモンチ探しに終始してるうちに休憩、箸休め的に星風まどか*6の子ルドルフを見たあとにいよいよエリザベートとヴィンディッシュ嬢との対決。
あ、あれ?
ヴィンディッシュ嬢を演じてる人って本職男役ですよね。
そこからなんで普通の娘役以上の美しい歌声が出るんですかね?
うん、モンチすげー
と思ってたらフィナーレでは変形燕尾服を着て踊り、ラストのパレードでは葡萄茶の貴族服でシャンシャンもって歌いお辞儀していた男役のモンチが居たのだった。
で、かけるくんについては
黒天使を演じる人が全て『白い顔に白灰色のロングヘアで黒服』のため、どれがどれだがわからなかった。
でも、休憩中で49歳が喫煙所に行ったとき、
『あの、風馬翔、今日もキレキレのダンスでよかったわ』
と49歳より年上の女性が自慢げに話していたそうで。
今度の舞台ではモンチとかけるくんを真面目にみようかと思う。ショーの方が彼らの持ち味が出そうだとは思うが、今度宙組の舞台を見るかどうかはまだ予定が立たない。
背負うのは程よくバランスよく
のっちさんは背負ってる。
通勤は紺系のカールラーベンのリュックを容量に合わせて背負い、
出張時はキャメルのKananaリュックを背負っている。
だからわたし、リュック派なんだという話ではない。
先日、のっちさんは骨髄移植の最終面談をうけた。
コーディネーターが二人に増えていた。
骨髄移植移植の最終面談だから。
のっちさんが最終承諾書にサインして印鑑押せば骨髄移植ロックオン。用事とかイベントに参加したいから日程変えてとは言えない。
もうひとりのコーディネーターは、のっちさんの理解度を確認するためにやってきた。
理解できずにやってその後激怒、という事態を避けるため、とのっちさんは認識した。
二人のコーディネーターとのっちさんは診察室に入って医師を待った。
医師が来た。のっちさんのコーディネーターが、医師の補足を受けながら骨髄移植の概要を手持ちのドナーブックを参考にして説明する。
のっちさんはちょこちょこと質問する。
医師はそれに笑いながら回答してくれる。
ちなみに体のことについては
『暴飲暴食は避けてくださいね』
『激しい運動は健康診断や骨髄移植直前直後は避けてください。休日に一万歩*1歩くのは言語道断です』
『腰に負担はかけないでください。注射とか鍼はやめてください』
『治療するような状況になったらコーディネーターに連絡してください』
という感じである。
さて、最終承諾書にサインと押印。
「あのう、日程はもう確定したってことでいいんですよね・・」
とコーディネーターさんが話した。
上司らに話したのは予定の日程として話しただけ。やばい。
病院の玄関口に出て会社に電話する。しかし電話口に出たのは同僚だった。
「あのさ、(骨髄移植を実施する数日間*2)休み取りたいんだけど大丈夫?」
「うん、ぼくらだけでも大丈夫だと思う。上司今いないから確認して連絡するように伝えるね」
その後、上司*3から骨髄移植の日程について休んでもいいという許可を得た。そしてサイン。押印。これで骨髄移植への最終段階のスタートを切った。
これでのっちさんには骨髄移植希望者の命が預けられた。これから金が無いと言わず体調に留意することを大事にしなければならない。
あ、親も面談すること、忘れてた。
のっちさんの親もその一週間後、『○○大学病院』で面談とサイン。
親ものっちさんが入院することを見越して計画もたてている。のっちさんには親の期待も背負うことになった。重い。そっちの方がずーっと重い。
リスクは一つにしても分けてもヤバい
のっちさんは最近までクレジットカードを一つしか持っていなかった。
最近までは財布一つの丼勘定で何とかなっていた。
しかし、お金がたくさんあると、なんでもできると思うのが人情。
その甘さでお金を使いすぎ二度ほど痛い思いをした。
そこら辺の中身を詳しく書くと金持ってるぜ自慢話になりそうなので割愛するが、のっちさんは4枚のキャッシュカード、3枚のクレジットカードを持ってる。
・メインカード(キャッシュカード及びクレジットカード)
給料及び会社絡みの入金口座。居住地外の銀行。かつクレジット払いができる定期光熱費及び娯楽費支払い用。
ここを主に使っているが、大金が入ると見境がなくなることが経験上判明。
・仕送り用(キャッシュカード)
学生時代から使っているゆうちょ銀行口座。親向け送金用。月定期だけでなく、彼岸、法事、お盆の時期には別途送金が発生する。
・サブカードその1(キャッシュカード及びクレジットカード)
居住地の銀行口座。
宅配生協支払い及び地銀支払い専用の水道費と新聞費引き落とし用。
水道費は1年ぐらいはコンビニやら金融期間で支払った記憶があるが、めんどうかつ、宅配生協始めたのでそっちの口座を生かしたクレジットカードも作成した。
が、それだけである。クレジットのポイントが順調にたまるわけではないので恩恵はあまりない。
・サブカードその2(キャッシュカード及びクレジットカード)
居住地の銀行口座。もちろんサブカードその1の口座とは違う。
これは帰省を含めた旅行支払い専用として使って行く予定。
のっちさんは旅行が好きなので、当初旅行積立を考え実行したものの、旅行券が来た後、使うのに腰が重くなりタンスの肥やしになりつつある。しかも格安のネット予約分には使えない*1、もしくは、使う場合は郵送しなければならないといっためんどくささを感じることになった。
そんなんなら、移動費(及び諸雑費)にかかるカード作って毎月積み立てればよくね。という結論に至った。
航空会社のカードなら使えばマイルたまるからそっちにしよう。
てなわけで、実家の空港で運行してる航空会社にJRを絡めたカードと契約した。
今回はいつもメインで使ってるカードではなくサブカードその2を持って東京に向かってるわけです。
ええ、サブカードその2をついさっき使ったんですが、何に使ったかというと1000円のスカーフ…
サブカードその2もゆうちょ銀行の方が良かったかなあ。今、ゆうちょ銀行って口座複数持ちできるよね?
ドナー終わったら、まい泉のヒレカツサンド食べるんだ
まつらいさん、こと松来未祐(まつきみゆ)さんという声優さんが居た。
まつらいさんは大学進学で東京に出て、その後、声優活動を始めた。当初は本名で活動していたが、姓名判断で『松来未祐』に変更して活動した。
初見では、松来未祐って名前を見て可愛いなあだけだったが、ネットのアニメファンたちが
『結婚できないまつらいさん』
と言っており、思わずウィキペディアで彼女の項目を確認した。のっちさんと同い年だった。
それ以降、後輩、年下の女性声優が彼女を追い越し結婚するたびに、『まつらいさん結婚まだ?』というネタが吹き上がり、最近はSNSで『松来未祐』がホットワードになったときは『松来未祐以外の女性声優が結婚したとき』という事態ということも認識した。
彼女の活動をあまり知らない自分も、彼女が去年の夏に休業するまでは他のアニメファンとともに『まつらいさん結婚?』ネタに笑っていた。
その年の11月、SNSのホットワードに『松来未祐』が上がり、また結婚ネタかよと思って見たところ、
あのまつらいさんが死ぬなんて嘘だろ
という書き込みであふれていた。
まあ、伝聞だけなら信じないと思っていたが、彼女の事務所のトップページのリンクを貼り付けた書き込みがあったのでリンクに飛んだ。
リンク先には彼女が亡くなったことが記載されていた。
休業から4ヶ月後の話だった。
その後、家族は彼女の死因を公表した。
これは通常なら排除できるはずのEBウィルスが、何らかのきっかけで活動を始め、最悪の場合…
説明の字面しか見なかったのっちさんは、膠原病みたいなものと認識した。
が、数ヶ月後、慢性活動性EBウイルス感染症は骨髄移植で寛解する可能性がある、という記載を読んだ。
もしかしたら、自分がまつらいさんを救えたかもしれない。
そんな仮定の話をしたところでまつらいさんが蘇ってくるわけではない。むしろまつらいさんを蘇らせるなら、まつらいさんの過去作品をじゃんじゃんみるべきだし、まつらいさんと同じように骨髄移植を待っている人を助けることが先決。
まつらいさんが最後に書いたブログには最後のお誕生日会の様子が楽しく書いてある。
その中に、病気が完治したら婚活始めるんだ、とこっそり書いてあった。
それを知ってか知らずか彼女の死の後にネットのとある掲示板に
『まつらいさんは神様と結婚したんだ!』
という書き込みをみつけた。
きっとそうだと、私は心の中で泣いていた。