銀色の、はるかな道

うだうだを、うだうだと。(基本 週1更新)

ケーキに陶器の玩具どうよ

2ヶ月間、ブログ書いてませんでした。

まあ、書くこと無かっただけだけど。いや、書くことあったけど忘れたが正しいか。

というわけであけましておめでとう。

 

正月、というか1月初旬になると自分はある食べ物を欲する。

ガレット・デ・ロワ

フランスの正月菓子で、中に陶器の玩具(フェーブ)を1個入れて焼いて、切り分けてみんなで食べる。切り分けたケーキに陶器の玩具が入っていたら、それが当たった人はその年は幸運になるという言い伝えがある。ついでにその当たった人には王冠を被せられるというおまけ付き。

のっちさんがガレット・デ・ロワを初めて見たのは実家のお菓子料理本だった。

大きな皿の上のケーキには王冠が斜めにおかれていた。バターを塗っててかてかとしたそのケーキ。当時ののっちさんはおふらんすにはそういう酔狂なケーキがあるんですね。という感想しか無かった。

それからン十年後の正月。実家から離れたのっちさんが住んでいた街のケーキ屋兼カフェでガレット・デ・ロワの販売が行われていた。ガレット・デ・ロワ自体が食べたかったんじゃ無い。中にフェーブが入っていることに惹かれた。なんとそのケーキ屋、お一人様用ガレット・デ・ロワを販売していたのだ。もちろん、友達のいないのっちさんお買い上げ。おうちに帰ってフェーブを探して食べた。それを2年間ぐらいやった。

その街から離れるときの正月。ある異文化レストランで「フランス語を勉強しながらガレット・デ・ロワを食べよう」というイベントが開催されたので、2年間購入したケーキ屋の1人前ガレット・デ・ロワの購入を諦めてそっちのイベントに参加した。

4つのテーブルに老若男女8名程度とフランス語圏の留学生がガレット・デ・ロワを囲んで歌を歌ったり簡単なフランス語会話を学んだりした後に、ガレット・デ・ロワを取り分けて食べる。

「あったー!」

どうやらフェーブが当たった人の声らしい。のっちさんのテーブルではのっちさんの隣の中年女性にフェーブが当たった。

そんな楽しい思い出があるので、引っ越し先の埼玉でもガレット・デ・ロワがあれば、と思った。しかし、地元にはガレット・デ・ロワが食べられるところが無い。じゃあ、今日は橫浜に行く用事ができたからそこで探すか!

で、橫浜。地下街のフランス系パン屋でついに見つけた。大きい、明らかに1人前では食べられないガレット・デ・ロワ。その下にお一人様のガレット・デ・ロワを見つけた。ただ、一つ気になったのはお一人様のガレット・デ・ロワの価格札が二つ並んでいること。左側にお一人様のガレット・デ・ロワが2,3個あってその右隣に「1/4カット フェーブ有り」の価格札。そのすぐ右隣に「1/4カット フェーブ無し」の価格札。フェーブ有りの方が若干高い。

ああ、これらはみんなフェーブ入っているのね。と思いレジに並んだ。

レジの時、店員がこう言い放った。

「フェーブお付けましょうか」

のっちさんはとりあえず、頷いた。それしかできなかった。

購入した一人前ガレット・デ・ロワと別売りのフェーブ、サービスの紙王冠をもらい、のっちさんはその場を離れた。近くの別の建物のフランス系パン屋にあったガレット・デ・ロワもやはり「フェーブは別添」であった。

これって、やっぱり、誤嚥対策なのかなあとがっかりしながら帰路についたのっちさんだった。

そのせいか、買って来たガレット・デ・ロワがなぜか物足りない。

来年は自前で作ろうかガレット・デ・ロワ

 

(余談)

今年の正月も、あのケーキ屋兼カフェではガレット・デ・ロワを販売していたようです。

笑ってもいいよ初舞台3時間~104期生の場合~

 

kageki.hankyu.co.jp「ほう、星組の大劇場公演演目が出たか」

「『ANOTHER WORLD』『Killer Rouge』おお、横文字タイトルだ。金髪の紅とあーちゃん*1が」

「その『ANOTHER WORLD』、大坂って書いてあるよ」

「(あらすじを読み込んで)ああ、落語ねえ。元ネタは『地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)』他、この演出者ってホントは2月からの月組ショーやりたかったんだねえ」

「『バッ』しか合ってないだろ!『バッ』しか!*2

「てか、『ANOTHER WORLD』って谷正純演出なんだよね。ヅカの皆様から『皆殺しの谷』とか言われてる」

「でも、最近の谷って殺すとか死ぬとか話ってあんま無くない?」

「確かに。最近は死ぬ作品は無いし、むしろ死ぬ間際の人間がネタになるとか」

「俺は大劇場の谷作品で寝落ちしたけどね」

「おれも・・てかそれが『皆殺しの谷』の所以なわけないだろ!」

「今回はトップコンビ途中で死んでるよね。閻魔大王出てくるし」

閻魔大王ねえ・・・まさか、琴ちゃん*3?」

「女の子女の子した閻魔大王か・・・俺はノーサンキューだなあ」

「じゃあ、みきちぐ*4閻魔大王・・・背中の着物に『美樹治愚』とか書いてあったりして」

「やめろ、みきちぐの閻魔大王なら下級生でも瞬殺かつ天界が大混乱するわ!」

「あ!いい人思いついた!寝落ちした時に出てたあのパツキンバリバリのガタイ暑苦しい伯爵の・・」

「ああ、専科の星条海斗!マギーさん」

「昨年谷演出のバウの『FALSTAFF』で鬱陶しいキャラで主演張ったしあると言っちゃあるよね」

「んで『Killer Rouge』俺、齋藤ショーみるの初めてなんだけど」

「ああ、思いっきり日本物。」

「え?アレで日本物?タイトルも聰だけど和装とかねーじゃん」

「言い方悪かったなあ。宝塚でジャパニーズアイドルショーやったらこんな感じっての。可愛い子は可愛く描かれる。アニソンばりばり。コロリコロリコロリコロリ・・♪」

「『JIN -仁-』やめい!って同じ齋藤吉正演出なのか」

「そだよ。もしかしたらオープニングでスクリーン出てきて主要メンバーの紹介あるかもよ。」

「ふーん。そう言えば寝落ちしたのと同じ星組で初舞台だね。」

「あの時からもう2年か。見に行ったあの日に入学式あったなあ」

「その時に入学した彼女らが初舞台を踏むわけだ。」

「そう言えば一緒に見た『JIN -仁-』*5で可愛いって言ってた華雪りら*6ちゃんも星組の大劇場デビューするかもしれないよ」

「そうなんだ。見なくなってから忘れてたわ」

「じゃあ、104期の初舞台絶対見に行こうな!」

「う・・・、うん」

*1:88期の紅ゆずると96期の綺咲愛里の星組トップコンビ

*2:ショー・テント・タカラヅカ 『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』作・演出/上田 久美子 ちなみに上田氏の初レビュー演出作品

*3:95期の礼真琴、現在星組の2番手男役。たまに女役もやる

*4:79期の星組副組長の美稀千種。基本演じるキャラはこの次の台詞を参考にして下さい

*5:2012年雪組公演時

*6:98期、宙組の娘役。星組には11月20日を持って異動。なんで、宙組の娘役が雪組の公演に出てるのか、と言う疑問を持たれた方も居ると思いますが、華雪さんを含めた97期から100期までの研究科1年の生徒達は、組周りとして初舞台終了後4つ程度の集団に別れて集団ごとに、様々な組の舞台に登場させていたのです。2012年に研究科1年の華雪さんは組周りの時に『JIN -仁-』に出ていたわけです。さて、

「なんで●●を組周りの時の組に固定しておかなかったんだ!」

という声も聞こえましたが・・・幻聴でしょう。

若き日の劇は忘れじ・・であって欲しい

kageki.hankyu.co.jp

「あー、まただいもん*1主演の全国ツアーですかー。なんで9月行かなかったんだよー!チケット手に入ったら行けたのにー。」

「お前、東京近いんだから行かなくてもいいんじゃないか。後、お前数年前にも同じ劇見てるだろ*2

「そだね。夢咲ねねのシャロンは少女が大人の女として生きざるを得ない苦しさがあったしなあ。そーいや、2年連続仙台のイズミティ21に来るのか、お疲れさまです*3

「(スケジュールを見せながら)おい、これ見ろよ」

「お、荘銀タクトホールこと鶴岡市文化会館じゃないですか。」

「ほう、なんで知ってる?」

「検索したら、国立競技場同様に有名人建築家頼みの結果、炎上案件と化して地元で評判の・・・」

「おい、その例えやめろ」

「まあ、こけら落としに宝塚って良くあるからなあ*4 え?こいつの劇?」

「どこに反応した?」

山形県鶴岡市と言えば小説家藤沢周平佐藤賢一・・・『蝉しぐれ』『傭兵ピエール』・・」

「ああ、『蝉しぐれ』は『若き日の唄は忘れじ』と改題して、『傭兵ピエール』も宝塚で上演しているからなあ。」

「その『傭兵ピエール』と同じ演出家の『誠の群像』をやるんだよ・・・」

「『誠の群像』だけでなく異様に維新ものにこだわっていると言えば・・・・」

「ああ、華麗なる宝塚に俗な視点を持ち込むと評判の・・・」

「(二人声を揃えて)石田昌也と書いてダーイシと読む」

「あー、こけら落としにダーイシか・・・しかも大劇場演出デビュー時の・・・」

「みーれにあむちゃれんじゃー、わーおわーお*5

「じゃあ、お口直しに東京宝塚劇場に行くように勧めよう。」

「あかん、これだ」

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「いやあ、タイトルから石田昌也感溢れてるじゃねえかよ」

「こうして、鶴岡市の住民に石田昌也信者が増えるんですね」

「そんなに簡単に増えねーよ!」

 

*1:89期 望海風斗

*2:これ

*3:最近、トップの出身外連続同場所同組公演は花組が北海道のニトリ文化ホールで2016年と2017年にやっております。ちなみにその時の花組トップスターはだいもんの同期明日海りおなんですけど。

*4:一例 2015年宙組全国ツアー時の山形県南陽市文化会館

*5:2000年大劇場公演石田昌也作レビュー『ミレニアム・チャレンジャー』のオープニングソングの歌い出し

パンがパーンと・・・切れた

のっちさんはキーホルダー内蔵型交通カードケースを使用していた。

まあ、早い話が定期入れ。と言っても前の職場は徒歩通勤なので交通カードは土日しか使用しない。しかも交通カードはあまり使わなかった。

そんなのっちさんが最初に手を出したのはフェリシモICカードケース*1だった。

表面にフランスのイメージということで花や星を模したデザイン。そして裏面のポケットに交通カードを入れる。上にかかった紐状の留め具と、横のリール付きの留め具の二種類でバッグに留めることができる。その上カードケースの中にはキーホルダーが付いている。これはかなり重宝した。2012年頃に購入。継続して購入していたもののいつの間にか消えていた。

そして2014年、代わりになるような物がないかなあ。と思いこれにした。

 

 

リバーシブルで使い分ける かばんにつけてシュルッとラクラクガールズキーポッケの会

www.felissimo.co.jp

上にプチカラビナがついた3つ折りポーチのまん中ポケットにカードを入れて、鍵はその中のポーチのホルダーに着ければいい。これなら鍵もカードも落とさず使えるだろうと3年くらい使った。まあ一度交通カードを落としたぐらい。

 

そして埼玉に転勤してもこのキーポッケを使い続けた。

しかし職場用のIC交通カードを使うことになった時、「まあ一度交通カードを落としたぐらい。」はかなりまずい。そこで近くの雑貨屋さんに走った。

昔使ったカードケース。カードにリール付き、中にキーホルダーがある奴が欲しいんだよ。

そこでこれを見つけた。

パン パスケース イギリスパン

www.amazon.co.jp

リールがついた。パンの片側のポケットに交通カードを入れる。もちろん、パンの中にはキーホルダーもある。

すぐにお買い上げ。

会社の外勤にはもちろん、私的な遠出にもこのカードケースは稼働してくれた。半年近くたって、そろそろ買い換えようかなあと思ってた矢先だった。ATMでお金を下ろしチャージしようとしたら、消えていた。パンが消えていた。

改札口で私の手を癒していたパン、職場の人も気に入ってくれたパン、ていうか職場からからもらった社宅の鍵も入ってるんだけど!すぐに来た道を戻った。

パンは社宅の近くに落ちていた。ICカードも鍵も健在だった。

しかし、これじゃあもうカードケースの体をなさない。

「あなたねえ、このケースを中に入れなかったからこうなったのよ」

と家族にガーガー言われキーホルダー一体型は諦め、別のリール型のカードケース*2を買うことになった。買ったときは可愛いと思ったものの、買ってからはいろいろ後悔している。俺はこんなキャラじゃ無い、こんなキャラじゃ無い・・・・

ちなみに、先日、フェリシモさんにこれを頼んだばっかりですけど・・・。

www.felissimo.co.jp

*1:フェリシモ公式ではシリーズの名前はもう出してないようですが、ネットで検索して「パリモチーフ バッグチャーム ICカードポーチの会」と推測してます

*2:お恥ずかしながらこれ。どれかは内緒で

shop-qlia.com

そして誰も居なくなった

天井からどんどん音がする。

のっちさんは団地に住んでいる。と言っても都市圏で良くあるような10ン階建てや横10メートルぐらいの巨大な団地じゃ無い。縦5階、横4宅のコンパクトな社宅。と言っても築40年近く。洗面台と洗濯機置き場(防水パン)と2~3部屋があればいい。

そんな社宅からもどんどん人が消えていく。引っ越し。転勤や退職だけで無く、近所に新しく家やマンションを買う人も。社宅もどんどんすかすかになる。

転勤前の社宅は凄かった。広い代わりに洗面台や洗濯機置き場は無い。洗面台の代わりに台所で歯磨きや洗顔をし*1、風呂場に洗濯機の排水を流せるように洗濯機をブロックで底上げした*2

当初、前の社宅にはのっちさんの入り口側で6宅ぐらいあった。家族連れ、中年カップル、のっちさんと同じ一人暮らし。様々な家族。何年かに一度家族が変わる。そして、消えていく。6家族、4家族・・・

春の初め、団地の共益費の当番セットを次の担当に渡そうとしたとき、

「ごめん、貴女以外居なくなるから、引き続きやって」

その年は2家族入ってきた。途中で1家族消えたが。

そして、その時が来た。のっちさんの転勤。

本来の転勤が公表される前に残った1家族に、転勤の挨拶と一緒に当番セットを渡した。

「すみません、わたしも出ていくことになりました」

住人ははあ、わかりましたと受けとった。

彼はまだそのただっ広い団地に1人で暮らしているだろうか。

 

今日も天井上で騒ぐ音がする。人が居るのはそれだけでいい気持ちになる。

 

*1:そのためか、前職場の宿直室には「台所で歯磨きや洗顔をしないで下さい」という張り紙があった

*2:前の社宅にはベランダはあれど、そのベランダには排水口なんか無かったのです

たかが災害食・・・なんだけど。

先週。福岡に行って来た。

ただ、ぶらっとするだけじゃ勿体ないなあと思ったので、ここに行った。

www.yakuzen-expo.jpちょうど昼頃だったので、食の旅ゾーンやライフゾーンコーナーはそっちのけで、食のビジネスコーナーで試食三昧やってきた。こちとら入場料500円払ってるんだぞー。そう思うと試食がうなるうなる。

だし汁や肉や魚のゼリーや冷凍パンやアレルギーフリーのカレー、しいたけのアヒージョや粉末ポタージュ、和菓子、ヤクルト、お茶・・・

まあ、それだけでも500円の価値あるじゃないですか。

 

その中に石井食品のブースがあった。のっちさんの世代にはミートボールのCMでおなじみのところである。そこでは災害用のリゾットを出していた。のっちさんは試食皿をさっととり、トマトリゾットを食べた。

「うわあ、災害無いと良いなあ」

 

その薬膳エキスポの隣では日本自閉症スペクトラム学会も開かれていた。

www.autistic-spectrum.jp

今回、大会企画シンポジウムは「自閉スペクトラム症の人々と自然災害」としました。企画意図は6年前の東日本大震災、昨年の熊本地震をはじめ、日本列島は予期せぬ自然災害に備えなければならない事態に直面しており、自閉スペクトラム症の人たちがそのような災害にあった時にどのように考え行動するのか、さらにどのように支援していくと良いかを本大会で考える機会を持ちたいと考えたということです。

あかん、のっちさんでさえこんな感じ*1なのに、感覚過敏の自閉症の方にこのリゾット渡したら絶対拒否する。

ああ、災害なんか起きないでくれ。というか、そう言ってるだけの間にこのリゾットが通常時で食べても美味しいと思うくらいレベルになってほしいと思いつつ福岡を後にしたのっちさんであった。

 

おまけ。そのシンポジウムは以下の通り。

www.nishinippon.co.jp

 

 

*1:基本は米好きだが、米だけで食事が出来ないかつ、おかゆ等の水気の多すぎるものが口に合わない人間

土曜日の朝、シリを切られた

www.oricon.co.jp

恐ろしく救いようがない歌詞だなあ。

大人の嘘が許せない。けれど嘘を受け入れなければならない。

傷つけられなければ生きて行くことは出来ない。

だから傷つけられてもそれを口にしてはいけない。

それがわたしたちが大人になると言うこと。wowwowowwow・・・。

 

さて、そんな大人になりきれなかったのっちさんは古新聞を漁っていた。

そこに「高崎線女性シリ切り魔現行犯逮捕」という記事を見たもんだから盛大にずっこけるしかなかった。

もっとずっこけたのはその1週間後、埼玉新聞がその事件の特集記事を組んでいたことである。

中年男の陰気な楽しみ

指先に熱い期待 女性への劣等感をキル

見出しだけでもあの妄想記事の東京カレンダーに喧嘩売れると思う。

本文も現実の事件の詳細を踏まえていても、

バスが行田駅に着くと、市村(犯人、仮名)も乗客と一緒に外へ吐き出された。得体の知れない興奮が、市村の胸を静かになめていく。きょうは仕事始め”あのことも年始めの初仕事だ”・・・(一部略有り)

列車が桶川駅に滑り込んだときの市村は、期待と緊張に多少堅くなっていた。

〈この期待するものへの心の充足感!こいつが何とも言えねえな‥〉

(ターゲットを見つけて)市村の方から満員電車の中で、ちょっと体をふって、何気なく彼女の背後にピッタリ体を寄せた。

この女のエリあし、あのときおれを罵倒した女のとそっくりだな。

この記者、本当は小説を書きたかったんだろうなあと。まあこの新聞では受け入れがたい形の小説。だって犯行現場はこんな感じ。

だが、市村和典(犯人フルネーム、仮名)には、絶対の確信があったのだ。”切る”ということにかけてはー。少年時代から実父が紙の裁断業をやっていた関係上、鋭利な刃物のつかい方にも訓練されていた。それに女を”切る”という行為は、すでに数十回*1の経験ずみだ。"切る”ときの操作は、列車の動きとその反動を利用して、科学的に自然に”切る”ことを習得していたからー。市村はA子さんのボリュームのあるヒップのやわらかいはずみを楽しみながら、一方、右手の指に巧みに挟んだ鋭いカミソリの刃を静かに上下させていたのだった。(一部略あり)

A子さんを狙う部分なんか文言変えればもうエロ小説のあのシーンになるんじゃねえかと思ったり。もちろん、A子さんのオーバーを切った後、犯人はそれを見ていた6つの眼*2から駅長室に連れて行かれて、逮捕されるんですけどね。

この犯人、初めてのお子さんが小児麻痺にかかり、看病の結果金に困り、人のモノに手を出すようになり、その上その子が死んだ。そして自棄になり稼業を潰したが、また子供が出来ると聞いて生まれ変わったように明るい生活に戻った。そして現在は高2と中3の子供がいて、部屋も与えるほどに恵まれた生活をしている。そして、5年前から働いている会社社長も彼への評価は高い*3。そんな男がなぜそんな凶行を?となるわけです。

しかし、供述書から、彼が列車で偶然ある女性の体に触れた後にその女性から罵倒されたことがきっかけだったことが判明します。その怒りが電車の中の15歳から28歳の女性のスカートやらオーバーやコートを切っていたのです。

ここまで、この事件の時期をぼかして書いていますが、実はこの特集記事は1968年1月13日の埼玉新聞5面のニュース・ストーリー*4から引用しました。

そして49年後、スカートを切られたとしても黙っていろ、と主張する大人が出てくるわけです。一番怖いのはその大人はその事件の前から生きていると言うことです。

*1:この犯行を含めれば46件

*2:埼玉県警三課の刑事、大宮、高崎両鉄道公安官の三人の男

*3:しかし、この犯人、この事件の7年前に窃盗でで逮捕、執行猶予中に数十回窃盗を行い懲役3年の実刑判決を受けているんですがね

*4:このニュース・ストーリー、当時の埼玉県で1~2週間前に起きた事件を脚色して掲載しています。イメージ的には週刊新潮の黒い報告書の新聞バージョンと思って差し支えありません。