あのひとのための、マロニの日
のっちさんは乳がんと聞くと伯母さんのことを思い出す。
のっちさんは伯母さんからかなりお世話になった。
のっちさんが小学校まで帰宅先は伯母さんち。
伯母さんが帰ってくるまでは祖父母が面倒を見てくれていた。
夕方に颯爽と帰ってくる彼女は仕事の合間を縫って、
のっちさんの本から彼女は白い馬の縫いぐるみを作った。
そして、料理だって会合があれば大皿料理を一人で作る。
伯母さんは家事をそつなくこなす人だった。
ある日彼女は体の痛みを訴えるようになる。
どこの病院に行っても異常なし。けど、胸だけは看てない。
診断結果、余命宣告付きの乳がんであったことが判明した。
そのまま彼女は入院し、のっちさんの顔も、家族の顔も忘れ息を引き取った。
そんな彼女が作ってくれた料理に「マロニ」というのがある。
一言で言うと「冷やし中華の麺をマロニー」に変えただけの料理。
なぜ、彼女がマロニー不毛の地*1で「マロニ」を作り始めたかはわからない。
けれど、30年ほど前から月1ペースで伯母さんちの食卓に並んでた記憶がある。
その上、のっちさんがおいしいと言った記憶もある。
そんなわけで、小林麻央さんが亡くなった時、のっちさんは
「ああ!マロニ食いたい!」と唐突に思ったのだ。
「あんたに何度もマロニの作り方教えたでしょう?」
と母親はあきれながらものっちさんに作り方を教えてくれた。
マロニの作り方(だいたい1人前)
材料:鶏肉50g、卵1個、キュウリ50g、ハム1枚、マロニー*250g(マロニ本体)
醤油、酢、ごま油すべて適量(マロニタレ)
1,鍋にお湯を沸騰させ、そのままマロニーを袋に記載しているゆで時間でゆでます。
2,卵は容器に溶いて油を引いたフライパン(もしくは卵焼き器)で薄く焼いて薄焼き卵を作る。
3,鶏肉は塩少々と、酒小さじ2で茹でる*3
4,焼いた卵、茹でた鶏、きゅうり、ハムは短冊切りにする。
5,茹でたマロニーはザルにあげて水洗いする。
6,酢とごま油を混ぜて醤油を少しずつ入れてタレをつくる。*4*5
7,洗ったマロニーを山のように盛り、その上に卵、鶏、きゅうり、ハムを固めて置いて完成。*6
完成、そして食べてみた。
10年ぶりに食べる、そして人生初調理のマロニ。食べる。
やっぱり、伯母さんのマロニには叶わないよ!
でも、伯母さんはもう居ないので、のっちさんのマロニを作っていくしかない。
今度は伯母さんの月命日近くの休日にでも作ろうか・・来週だけど。
改めて、小林麻央さんのご冥福をお祈りいたします。